2006年11月14日

レックスHDのMBOの背景にあるもの

「牛角」で有名なレックス・ホールディングス(以下、レックスHD)がMBOを発表しました。
レックスHDといえば、カリスマ西山社長が三軒茶屋で牛角を興し、その後、FC展開やM&Aによって業績を急拡大した、外食企業を代表する有力企業でした。

MBOの理由をいくつか会見で挙げていましたが、要するに規模の急拡大に社内の組織体制が追いつかなかった、ということのようです。

これをカリスマ社長による経営の限界、と言ってしまうのは早計でしょう。

外食企業は実は日本で最もM&Aが起きている業界の一つです。
レックスHDをはじめ上場外食企業では「すき家」のゼンショー、「甘太郎」のコロワイド、「かっぱ寿司」のカッパ・クリエイトが最近5年間内に激しいM&A合戦を展開しています。

なぜ、外食業界でM&Aが活発に起きているのか?
理由は下記の4点に集約されるます。
@市場が縮小しており、シェア拡大のためには自社で店舗を立ち上げるより、店舗網が既に出来上がっている同業企業を買収した方が成長が早い
Aスケールメリット(規模の経済)が働く業界である
Bブランドのライフサイクルが短い
Cデフレを脱したものの、消費者は価格に対して依然敏感である

それぞれの理由の背景は後日別途まとめるとして、以上のような必然性・緊急性が大手外食企業、とりわけ株主へ成長戦略を説明する責任を負う上場企業を突き動かす訳です。
上場した外食企業にとってM&Aをすることはいわば宿命。

その一方で、外食業界は数十年前まで、世間的には「水商売」とも看做されることがあり、例えば創業間もない飲食店は満足に銀行の融資を受けられない時代もありました。
多少環境が改善されてきたとはいえ、現在でも外食業界に集まる人材は正社員であっても元フリーターでそのまま就職した人や、他の業界でドロップアウトした人などがほとんどであり、子会社の経営や店舗運営など、組織運営を取り仕切れる人は少ない状況です。
さらには、景気の回復による、人材獲得の競争が激化しており、他の業界と比べて労働条件が相対的に悪い外食業界は人材確保が難しくなっています。


これで冒頭書いた、規模の拡大と自社の能力のバランスを見誤ったのはカリスマ社長が原因とすることは早計だということが少しお分かりいただけたのではないかと思います。

外食企業の成長には宿命づけられている規模の拡大と同時に、組織力の強化が
課題となるケースは今後も外食業界で増えてくると思います。外食企業の組織力の向上のためには、外食業界自体の地位向上による優秀な人材の確保が不可欠です。規模の拡大と組織力のバランスが保てなければ、いずれ企業に問題が生じ、抜本的な改革が必要となります。上場企業のままでは思い切った構造改革ができないのも事実です。

外食上場企業のMBOは今後も十分に起こりうるテーマだと思います。


《ご参考:レックスのMBO概要》
○アドバンテッジパートナーズが設立する特別目的会社(SPC)がTOB(株式公開買い付け)でレックスHD株取得。TOB成立後、西山氏がSPCに33%出資
○1株あたり買い付け価格は23万円
○買い付け期間は11月11日から12月12日まで。買収総額は約615億円
○来年2月めどにレックスHDの上場廃止
○MBO成立後、西山氏は会長に



posted by Qさん at 23:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近のニュースの考察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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